目次

研修とは「業務に必要な知識やスキルなどを習得するために、勉強会や講座に参加して学ぶこと」ですが、その中でも社内研修は「外部に委託せず社内で実施する研修」のことを指します。社内研修の中でも代表的なものに新入社員研修がありますが、その他にも様々な種類の研修があります。今回は社内研修について、どのような研修があるのか、研修を実施する際のポイントなどについてお伝えします。

社内教育と社内研修の違い

社内研修と同じような言葉で「社内教育」がありますが、「社内教育」と「社内研修」の違いは何でしょう。「社内教育」とは、社員それぞれの能力を引き出すために計画的に教え育てることを指します。そのため、長期的な視点が必要です。一方で、「社内研修」とは、短期間に業務に必要な知識やスキルを身につけてもらうことを目的に学習することを指します。同じように使われがちですが、「教育」と「研修」の意味の違いを理解して使い分けましょう。

社内研修のメリットとデメリット

一概に「研修」と言っても、社員が講師となって社員に向けて実施する「社内研修」の他に外部講師を招いて実施する「外部研修」、社外で実施される研修に社員を参加させる「社外研修」などがあります。それでは、「社内研修」にはどのようなメリットとデメリットがあるでしょうか。

<メリット>

①費用削減

研修を外部委託したり社外の研修に参加すると、受講人数や研修期間により研修費用がかかります。遠方で開催される研修に参加する場合は、さらに宿泊や移動費もかさむことになるでしょう。また、金銭的コストだけではなく、宿泊や移動を伴うと時間的コストもかかりますね。それに比べ、社内研修は社内の人材で研修を行うことが出来るため、大幅に費用を押さえることが出来ます。

②自社に合わせた研修を組むことが出来る

社内研修は社員が講師となり実施するため、自社の企業理念や社風に合わせて研修内容を組むことが出来ます。また、自社が打ち出す新しいシステムやサービスなどを学ぶための自社独自の研修を組むことも出来ます。さらに、受講者にアンケートなどを取りフィードバックをもらうことで、研修内容をより良いものに改善することが出来るため、社員によってより効果の高い研修を組むことも出来ます。

③他部署とコミュニケーションを取ることが出来る

社内研修にも様々な種類がありますが、「新入社員研修」や「管理職研修」のように階層別の研修では様々な部署の社員が集まって一緒に研修を受けます。同期や近い年次の社員が一同に集まることで、部署を超えてコミュニケーションを取ることが出来るとても良い機会となります。

<デメリット>

①専門的な知識や外部からのノウハウを取り入れることが出来ない

「社内研修」は研修講師も社員が行うため、専門的な知識やノウハウを得ることが難しいというデメリットがあります。特に専門的な分野における知識の付与やスキル向上を目的とした研修に関しては、外部の専門知識を持った講師に依頼をした方が確実に目的を達成できると言えます。

②研修の準備や資料作成などに時間と労力がかかる

社員が研修を実施するため、その準備に時間や労力がかかることもデメリットの一つです。日程や場所の調整、研修内容に応じた資料の作成、受講者への各種案内などの事前準備に加え、研修当日の進行も全て担うため、担当する社員への負担は免れません。

社内研修の方法

<OJT研修

OJTとは、「On the Job Training」の略で、多くの企業で取り入れられている研修方法です。基本的に一人につき1名の教育担当がつき、実務の中で必要なスキルやノウハウを学びます。そのため、仕事をしながら研修を行うことが出来ると共に、様々な経験を積むことも出来るため、効率が良い方法と言えます。一方で、知識を習得したり定着させることを目的とした研修の場合には適しません。

<Off-JT>

Off-JTとは「Off the Job Training」の略で、いわゆる集合型の座学研修のことを言います。最近ではオンラインで実施する企業も増えましたが、1名の講師が多くの受講者に対して一度に行う形式です。OJTのように実践型ではなく、座学で知識を身に着けることを目的とした研修が向いています。

社内研修の種類と求められる内容

それでは、具体的に社内で組まれる研修の種類とその内容について見ていきましょう。

<階層別研修>

階層別研修とは、組織が各階層に求める要件に基づき実施される研修です。代表的なものとしては、新入社員、中堅社員、管理職、部長や役員と言われいてますが、3年・5年・7年目といった節目に年次別の研修を行うところも多いようです。

階層別研修を組み立てる上では、それぞれの年次や階層に求めらるマインドや知識、スキル、成果などについて整理し、それに対応する研修を入れていくと、より対象者に即した研修を組むことが出来ることになります。それでは、代表的な階層とその年次にどのような研修を組むと良いかを見ていきましょう。

①新入社員研修

新入社員研修は社会人の第一歩ですから、経営理念や社内ルールなど会社のことを学ぶ他、社会人としてのビジネスマナーや社員同士のコミュニケーションを図る場として欠かせません。また、基本的な業務知識や仕事の進め方の習得も求められるため、全新入社員に向けた研修の他、配属された部署や職場に応じて必要な知識やスキルを習得するための研修(ビジネス文書の書き方やパソコンスキル研修、営業基礎力を養う研修など)が組まれます。

②中堅社員研修

中堅社員とは、入社して数年経過した社員のことを言い、若手社員の時よりも様々な役割が求められます。後輩育成や業務改善、管理職のサポートなどに加え、職場によってはより専門的な知識の習得やプレゼンテーション能力なども求められてきます。そのため、研修としてはモチベーションマネジメントや課題解決力を育てる内容、ロジカルシンキング研修、さらには管理職をサポートするためのフォロワーシップ研修といった内容が組まれるようになります。

管理職研修

管理職には、業務改善や業務管理、リスク管理など組織やチームのマネジメント能力が求められます。そのため、研修としては、管理職としてのコミュニケーション研修やマネジメント研修、コーチングや生産性向上などの内容に加え、アンガーマネジメントやハラスメントに関する研修などが組まれます。また、最近では女性活躍推進に基づき女性管理職の割合が増えているため、女性管理職セミナーのような研修が組まれることもあります。

部長研修・役員研修

部長や役員のように組織の上位層の向けた研修は、企業が属する業界や業種の今後の見通しや、経営戦略の構築などの内容が設定されます。また、リスクマネジメント研修や部下を評価する評価者研修なども有効な研修と言えます。

<職種別研修>

職種別研修とは、事務職、営業職、マーケティング職、エンジニア職、経理職など職種ごとに必要な知識やスキルを学ぶ研修のことを指します。ただし、これらの研修は専門的な知識や職種に特化したスキルの研修が求められることが多く、社内研修で実施するには少し難しいかもしれません。ここではいくつかの代表的なもののみご紹介します。

①事務職

事務職は、仕事の内容として来客の対応やパソコンでの資料作成、お客様からの電話対応などが挙げられます。そのため、研修としてはエクセルやワードなどのパソコンスキルを学ぶ研修や来客対応のためのビジネスマナーやおもてなしの研修、電話の取り方や話し方の研修などが挙げられます。

②営業職

営業職では、営業マインド研修やプレゼンテーション能力向上のための研修、マーケティング研修、交渉力向上研修など、営業に必要なマインドやスキルを具体的に学ぶことが出来る研修が組まれます。また、昨今のコロナの状況を踏まえ営業もオンラインで実施する企業も増えたことを鑑み、オンライン営業のスキルを学ぶリモート営業研修なども人気があります。

③経理職

経理職には税務や経理、場合によっては簿記に関する研修など、より専門的な知識を習得するための研修が求められます。

それ以外にも、販売職やコールセンター、IT部門などそれぞれに必要な知識やスキルが異なるため、必要に応じた研修が組まれます。なお、前述の通り、これらの専門的な知識を得るための研修は社内研修のみで実施するのは極めて難しいと言えます。外部の専門的知識を持った講師により実施する方が確実に効果を得られると言えるでしょう。そのため、研修を実施する際は、社内で実施するか外部に委託するかメリットとデメリットを比較し、社員にとって最も効果的な方法を選択することが必要でしょう。

社内研修を実施する際の進め方やポイント

それでは実際の社内研修を実施する際、どのように進めていけば良いでしょうか。その流れにおいて重要なこと、ポイントについてご紹介します。

①研修の目的とテーマを決める

まず、研修を実施する目的を明確に決めることが重要です。例えば3年目の社員に対して研修を実施する場合、3年目の社員にどうなってもらいたいか、どのような知識やマインドを持ってもらいたいかといったゴールを決め、それに向けて研修のテーマを考えます。その研修を実施する講師には誰が適任なのかも合わせて考えましょう。また、社内の課題を解決するために研修を実施する場合は、その課題を明確に抽出し、その課題を解決するためにどのような研修を組めばよいかといった視点でテーマを決めていくべきでしょう。

②研修方法や日時、場所などの詳細を決める

研修の目的とテーマが決まったら、研修プログラムの内容を詰める前に研修方法と人数規模や時期などを決めましょう。オンラインで実施するのか、人数規模や開催時期などを具体的に決めると、その後内容を決める際にも何が出来るか出来ないかが必然的に見えてきます。

③研修プログラム(内容)を決める

最初に決めた目的やテーマに沿って、どのような内容にするかを具体的に決めていきます。例えば、大人数に対して知識付与を行いたい場合は講義形式で行うことが一般的です。また、視野を広げたり他人の意見を聞くことを取り入れたい場合にはグループディスカッション、実践形式で学ばせたい場合にはワークショップやロールプレイを取り入れるなど、目的やテーマによって様々な手法があります。また、オンラインで研修を実施する際にも、小部屋を作ってディスカッションを行ったりチャット機能を利用して意見交換を行うことも可能なため、どのような方法を取るかを考え準備をすることが大事です。

④フィードバック・フォローアップ方法を決める

研修が終わった後、受講者の理解度を知るため、また研修内容をブラッシュアップするために、アンケートやレポートなどでフィードバックをもらうことが大事です。また、研修内容によってはその後職場でのフォローアップに繋げることも大切なため、職場の上司と連携を取ることも必要な場合もあります。

社内研修を実施する際の注意点

社内研修を行う際、気を付けたいポイントとしては受講者の「集中度」と「理解度」「納得度」です。まず「集中度」についてですが、社内研修は社内の人材が講師を務めるため、緊張感が薄れてしまったり受け身になってしまったりすることがあります。そのため、途中でクイズやアイスブレイク(講義内容とあまり関係ない質問)を入れたり、講師がランダムに指名して意見を述べてもらったりするような工夫が必要です。

「理解度」「納得度」については前述の通りアンケートやレポートなどで図ることが可能ですが、しっかり理解や納得をしてもらうために、事前に研修の目的や意義を受講者に伝えることが大切です。その研修を実施する理由や身に着けてもらいたいことなどゴールを事前に伝えた上で受講してもらうことで、受講者の意欲に繋がると共に研修のポイントを掴みやすくなり、より理解度や納得度が増します。

まとめ

いかがでしたでしょうか。「社内研修」といっても様々な種類があり、その方法や形式、また年次や職種によって必要な研修や適する研修が異なることがお分かりいただけたかと思います。また、内容によっては、外部講師に委託する「外部研修」と組み合わせると、より専門的な内容も取り入れることができ、深みのある研修を実施することが出来るでしょう。

是非、今回の内容をご参考に実りある研修を行ってみてください。

\シェアーお願い致します/

この記事に関するお問い合わせは、当サイトのお問い合わせフォームからお願い致します。

株式会社ソフィアコミュニケーションズ

株式会社ソフィアコミュニケーションズ

株式会社ソフィアコミュニケーションズ は、研修 の企画から講師 の派遣、実施をご提供致します。また、継続的に専門家を派遣する顧問派遣サービスも行っております。各種企業様のニーズに合わせた研修のご提供・ 顧問の派遣 により、組織全体、チーム全体のスキル向上をご提案致します。お気軽にお問い合わせ下さい。

お問い合わせはこちら

関連コンテンツ