結論からお伝えします。直近6ヶ月に休職があっても、失業保険は激減しにくいです。
給与が低かった休職月をのぞいた、休職前の通常賃金で計算されることが多いためです。

直近6ヶ月のうち、数ヶ月は休職していました。給料がほとんど出ていない時期があるので、失業保険も減らされるのでは…と不安です。



そのお気持ち、よく分かります。失業保険の金額は、休職で給与が低かった月だけで決まるわけではありません。
失業保険の金額には、決まった計算ルールがあります。
そのしくみを、公的機関の情報をもとに整理しました。
この記事でわかること
- 休職があっても失業保険が激減しにくい理由
- 自分のケースでいくらになるかの確認方法
- 金額が下がる例外と、使える救済制度
まずは、休職と失業保険の関係を結論から整理します。



大事なのは『直近6ヶ月=休職=激減』ではないという点です。落ち着いて、自分のケースから確認していけば大丈夫です。
現物を入手して確認済み






当編集部では、失業保険(基本手当)の金額や上限額を、東京労働局が窓口で配布する『離職された皆様へ』の現物と照合しています。数値は社会保険労務士の監修のもとで確認したものです。
【結論】失業保険は直近6ヶ月の休職でも下がりにくい
結論から言いますと、休職で給与が低かった月をのぞき、休職前の通常賃金で計算されることが多いため、失業保険は激減しにくいと言えます。
休職前の賃金で決まる理由
失業保険の正式名は、雇用保険の基本手当(きほんてあて)です。
基本手当の金額は、賃金支払基礎日数(ちんぎんしはらいきそにっすう)が11日以上ある月をもとに計算されます。
金額計算のもとになる「完全な賃金月」
完全な賃金月とは、11日以上の賃金支払基礎日数がある月です。この月を直近から6か月分拾います。
休職で11日未満だった月は、この6か月から外れます。だから休職前の通常賃金で計算されることが多いのです。



だから『直近6ヶ月=休職期間』とは限らないんです。
この計算ルールは、ハローワークの基本手当の案内でも確認できます。
計算式やカレンダーでの具体例は、「直近6ヶ月の休職で失業保険の金額が決まる仕組み」で整理します。
直近6ヶ月と休職月の違い



直近6ヶ月って、退職前の半年のことですよね。その間ずっと休職で給料が低いから、失業保険も少なくなる…と思っていました。



そこが、いちばん誤解しやすいところです。『直近6ヶ月』は暦どおりの半年ではありません。
正しくは、11日以上の完全な賃金月を、直近から6つ拾った期間を指します。
そのため、暦どおりの直近6か月とは一致しないことがあります。
ただし、すべての休職月が外れるわけではありません。休業手当が出た月や、有給休暇を使った日数がある月は、賃金支払基礎日数にカウントされます。
休業手当が出た月の扱いは、「長期休職で失業保険が下がる例外と救済」で整理します。
自分のケースの確認方法
自分の失業保険がいくらになるかは、書類で確認できます。
見るのは、離職票−2の「被保険者期間算定対象期間」という欄です。
病気やケガが理由の休職・退職なら、特定理由離職者(とくていりゆうりしょくしゃ)・受給期間の延長・傷病手当金(しょうびょうてあてきん)も検討できます。



なお、最終的な金額や離職理由の判定は、管轄のハローワークが個別に行います。
欄の具体的な見方は、「離職票−2の⑨欄の見方」で確認できます。
失業保険は直近6ヶ月が休職でももらえるか


休職期間中でも、賃金支払基礎日数11日以上の月が必要数あれば受給資格を満たします。病気・ケガ退職なら、特定理由離職者として給付制限なしになる可能性もあります。
被保険者期間の11日ルール



金額の計算より前に、そもそも私はもらえるのか不安です。休職していた期間があっても、大丈夫でしょうか。



まず確認したいのは、受給資格です。いくらもらえるかの計算は、その次の話になります。
受給資格は、雇用保険の被保険者だった期間の長さで決まります。
必要な期間は、離職理由によって変わります。
| 離職理由 | 必要な被保険者期間 |
|---|---|
| 自己都合 | 離職前2年間に通算12か月以上 |
| 特定理由離職者・会社都合 | 離職前1年間に通算6か月以上 |
病気やケガが理由なら、特定理由離職者として要件が軽くなる可能性があります。
被保険者期間の1か月は、賃金支払基礎日数が11日以上、または賃金支払基礎時間数が80時間以上ある月で数えます。



この11日は『もらえるか』を判定する数字です。金額計算で出てくる11日とは、目的が違う同じ数字なんです。
病気退職と特定理由離職者
病気やケガで辞める場合、離職理由の扱いが変わることがあります。
正当な理由のある自己都合と認められると、特定理由離職者になります。
特定理由離職者になると、必要な被保険者期間が離職前1年間で6か月に軽くなります。



ただし、特定理由離職者にあたるかどうかの判定は、管轄のハローワークが個別に行います。
自己都合だと思い込み、特定理由離職者の可能性を見落とす方は少なくありません。
病気・ケガによる離職の範囲は、厚生労働省の雇用保険の案内で確認できます。
給付制限なしになる条件
特定理由離職者や会社都合と認められると、給付制限なしで受給できます。
給付制限とは、待期のあとに受給開始が先延ばしになる期間のことです。
2025年4月以降、自己都合退職の給付制限は原則1か月に短縮されています。5年以内に3回以上の自己都合退職は、3か月です。
さらに、離職の前後に厚生労働省指定の教育訓練を受けた場合、給付制限が解除される制度も新設されました。



休職からの再スタートを考えるなら、職業訓練は給付の面でも心強い選択肢になります。
職業訓練を受けると、受給期間が訓練の修了まで延びる場合もあります。
給付制限の最新の運用は、厚生労働省の雇用保険の案内で確認できます。
直近6ヶ月の休職で失業保険の金額が決まる仕組み


賃金日額は、完全な賃金月6か月分の賃金合計を180で割って出します。休職で11日未満の月はこの6か月から外れるため、休職前の賃金で計算されます。
賃金日額を出す計算式
失業保険の金額は、まず賃金日額(ちんぎんにちがく)を出すところから始まります。
賃金日額=完全な賃金月6か月分の賃金合計(賞与は除く)÷180
この賃金日額に給付率をかけたものが、1日あたりの基本手当日額(きほんてあてにちがく)です。
賞与は計算に含めません。だから、ボーナスの有無で日額が大きく動くことはありません。



ポイントは、計算のもとが『完全な賃金月6か月』という点です。
賃金支払基礎日数11日の壁


完全な賃金月には、はっきりした条件があります。
暦日数が丸1か月あり、かつ賃金支払基礎日数が11日以上ある月のことです。
| 賃金支払基礎日数 | あてはまる日 |
|---|---|
| 含まれる | 実労働日、休業手当の支払対象日、有給休暇の取得日、慶弔・特別休暇の日 |
| 含まれない | 業務外の病気・ケガによる欠勤(無給の休職) |
無給の休職で欠勤した日は、賃金支払基礎日数に入りません。



この11日は『金額の計算』で完全な月を拾うための数字です。受給資格の11日とは、目的が違います。
休職月をスキップする計算例



私はちょうど直近3か月くらい、無給で休職していました。その分、失業保険も減ってしまうのでしょうか。



そこは安心してください。無給で11日未満の休職月は、計算から外れて拾われません。
計算では、離職日からさかのぼり、11日以上の完全な賃金月だけを6つ拾います。
無給の休職月は飛ばして、その前の通常勤務月までさかのぼります。
| 離職からの時期 | 月の状態 | 賃金日額の計算 |
|---|---|---|
| 1か月前 | 休職(無給) | スキップ |
| 2か月前 | 休職(無給) | スキップ |
| 3か月前 | 休職(無給) | スキップ |
| 4〜9か月前 | 通常勤務 | 完全な6か月として拾う |
たとえば直近3か月が無給休職なら、その前の通常勤務6か月分で計算されます。
ただし『休職月は必ずスキップ』ではありません。外れるのは、11日未満の無給休職月だけです。
休業手当や有給で11日以上ある月は、計算に拾われます。
その扱いは、「長期休職で失業保険が下がる例外と救済」で整理します。
混同しやすい2つの6ヶ月


休職して辞める人がつまずきやすいのが、2つの『6ヶ月』の混同です。
片方は金額の計算、もう片方は受給資格の判定に使います。
| 項目 | 賃金日額の6か月 | 特定理由離職者の6か月 |
|---|---|---|
| 何のため | いくらもらえるかの計算 | もらえるか(受給資格)の判定 |
| 対象 | 11日以上の完全な賃金月 | 被保険者期間 |
| 期間の枠 | 直近からさかのぼって6か月 | 離職前1年間で通算6か月 |
休職退職では、この2つが同時に関わるため混同しやすいのです。



数字は同じ6でも、見ている場所がまったく違うんです。
月収別の受給額シミュレーション


では、実際にいくらになるのか。
基本手当日額は、賃金日額に給付率をかけて決まります。
給付率はおおむね50〜80%です。60〜64歳は45〜80%で、賃金が低い人ほど率は高くなります。
まず、条件を固定した例で計算してみます。
- 賃金合計:月収30万円×6か月=180万円
- 賃金日額:180万円÷180=約1万円
- 基本手当日額:約1万円×給付率約50%=約5,000円
月収を変えると、目安はこう変わります(40歳・勤続10年で試算)。
| 月収の目安 | 賃金日額の目安 | 基本手当日額の目安 |
|---|---|---|
| 20万円 | 約6,700円 | 約4,400〜5,000円 |
| 30万円 | 約1万円 | 約5,000〜6,000円 |
| 40万円 | 約1万3千円 | 約6,500〜7,300円 |
基本手当日額には、年齢区分ごとに上限と下限があります。
令和7年(2025年)8月改定の上限・下限(代表例)
- 上限(30歳以上45歳未満):8,055円
- 下限(年齢を問わず):2,411円
他の年齢区分の上限額は、厚生労働省の案内で確認できます。



ここで出した金額は目安です。正確な額は、離職票や受給資格者証、管轄のハローワークで確定します。
実際の受給総額は日額に給付日数をかけて決まるため、勤続10年前後の給付日数と受給総額の目安もあわせて確認しておくと安心です。


↓賃金日額が正しく拾われているか不安なら
休職をはさむと、完全な賃金月が正しく拾われているか、自分では判断しにくいものです。
複雑なケースの手続きは、専門のサポートに相談する方法もあります。
\LINEで気軽に相談/
長期休職で失業保険が下がる例外と救済


長期休職で完全な賃金月が6か月そろわない場合や、休業手当が出た月がある場合は金額が下がることがあります。ただし、受給要件の緩和などの救済制度があります。
完全な賃金月が足りない場合
下がりにくいケースが多い一方で、金額が下がる場合もあります。
正直にお伝えすると、休職が長期化したときです。
休職がおおむね2年を超えると、完全な賃金月が6か月そろわないことがあります。この場合、賃金日額が下がったり、受給資格そのものに影響したりする可能性があります。



2年以上休んでいたら、もう失業保険はもらえないんでしょうか…。



あきらめるのは、まだ早いです。こうしたときのための救済制度があります。
受給要件の緩和と4年特例
長期休職の救済が、受給要件の緩和です。
病気やケガなどで、引き続き30日以上賃金を受けられなかった場合に使えます。
この制度では、算定対象期間を最大4年まで延ばせます。さかのぼれる期間が広がり、休職前の完全な賃金月を確保しやすくなります。
制度の詳しい要件は、ハローワークの基本手当の案内で確認できます。
間違えやすい2つの『延長』
| 制度 | 何を延ばすか |
|---|---|
| 受給要件の緩和 | 算定対象期間(さかのぼれる期間) |
| 受給期間の延長 | 受給できる期間 |
受給できる期間を延ばす「受給期間の延長」とは、別の制度です。



名前は似ていますが、延ばす対象がまったく違います。
休業手当が出た月の特例
会社都合の休業や労災で、休業手当が出た月がある人もいます。
休業手当は広い意味の賃金です。その月は完全月として拾われることがあります。
ただし休業手当は、通常の賃金より低くなりがちです。そのまま計算すると、賃金日額が下がってしまうことがあります。
これを防ぐ特例があるとされています。賃金日額の計算で、休業手当の分を差し引いて調整する考え方です。



具体的には、分子から休業手当の額を、分母の180から休業日数を差し引くとされています。
自分の月に休業手当が含まれる場合は、計算が変わる可能性があります。


↓自分が救済制度に当てはまるか迷うなら
特定理由離職者の判定、受給要件の緩和、休業手当の特例。
どれも、自分一人では見極めにくい論点です。複雑なケースこそ、専門のサポートに相談する価値があります。
\自分のケースを整理/
失業保険の手続きの流れと必要書類


退職前に離職票を準備し、ハローワークで求職申し込みと受給資格の決定を受けます。待期と給付制限を経て、受給が始まる流れです。
退職前に準備する離職票
手続きの起点になるのが、離職票です。
離職票は会社から交付される書類です。退職前には、まだ手元にないことが多いです。
退職前でもできる準備があります。在職中の相談、被保険者期間や賃金の見込みの確認です。



離職票を待つ間に見込みを把握しておくと、退職後の動きがスムーズです。
ハローワークでの申請の流れ
ハローワークでの流れは、決まった順番で進みます。
ハローワークで求職を申し込みます。離職票と本人確認書類、マイナンバー確認書類などを持参します。
離職理由や被保険者期間をもとに、受給資格が決定されます。離職票の内容がここで確認されます。
受給資格の決定後、全員が7日間の待期を経ます。この間は基本手当が出ません。
自己都合の人には、給付制限の期間があります。特定理由離職者や会社都合の人にはありません。
認定日ごとに失業の認定を受けます。認定されると、基本手当が振り込まれます。
必要書類の詳細は、ハローワークの案内で確認できます。



退職前後の給付金を自分で申請する手順もあわせて確認しておくと、退職後の動きがイメージしやすくなります。


待期と給付制限の期間
待期と給付制限は、受給開始のタイミングを左右します。
待期は7日間で、これは全員が経ます。
自己都合の給付制限は、2025年4月以降は原則1か月です。5年以内に3回以上の自己都合退職は、3か月になります。
特定理由離職者や会社都合の人には、給付制限がありません。



病気・ケガが理由なら、給付制限なしで受給できる可能性があります。
給付制限の最新の運用は、ハローワークの案内で確認できます。
離職票−2の⑨欄の見方
離職票−2には、被保険者期間算定対象期間という欄があります。
通称、⑨欄と呼ばれる部分です。
この欄を見ると、自分の完全な賃金月がどう拾われているか確認できます。
すでに離職票が手元にある人は、⑨欄で完全月が正しく拾われているか確認できます。



賃金日額が妥当かどうかも、この欄でおおまかに見当がつきます。
失業保険と直近6ヶ月の休職のよくある質問


直近6ヶ月の休職と失業保険について、不安になりやすい質問をまとめました。結論を簡潔にお答えします。



気になりやすい疑問を、5つにしぼってお答えします。
- Q. 失業保険は直近6ヶ月に休職があると減りますか?
-
結論からお伝えすると、激減しにくいです。11日未満の無給休職月は計算から外れ、休職前の通常賃金で計算されるためです。
休業手当が出た月や長期休職のケースは、「長期休職で失業保険が下がる例外と救済」で整理しています。
- Q. 直近6ヶ月がすべて休職で給与0円でももらえますか?
-
「もらえるか」と「いくらか」は別問題です。完全な賃金月をさかのぼって確保できれば、受給は可能です。長期で確保できない場合は、算定対象期間を延ばす受給要件の緩和が関係します。
- Q. 直近6ヶ月の休職で失業保険はどこまで下がりますか?
-
下がる場合の目安として、基本手当日額には年齢区分別の下限があります。令和7年(2025年)8月改定で、下限は年齢を問わず2,411円とされています。
ただし完全月を拾えれば休職前の賃金で計算されるため、必ずしも下限まで下がるわけではありません。詳しくは「長期休職で失業保険が下がる例外と救済」をご覧ください。
- Q. 休職期間は雇用保険の被保険者期間に入りますか?
-
賃金支払基礎日数が11日以上、または賃金支払基礎時間数が80時間以上ある月は、被保険者期間にカウントされます。無給の休職で11日未満の月は、カウントされません。
- Q. 傷病手当金と失業保険は同時にもらえますか?
-
同時には受給できません。傷病手当金は「働けない期間」、失業保険は「働けるが仕事がない期間」への給付で、切り替えになります。
退職後すぐ働けない場合は、受給期間の延長も検討できます。詳しくは傷病手当金の記事で解説しています。
失業保険は休職中に確認しておきたいこと
退職前のいま確認したいのは、被保険者期間・受給期間延長の期限・専門家相談の活用です。自分のケースの確定に向けた、次の一歩を整理します。
退職前に確認したい被保険者期間
退職前のいまだからこそ、確認できることがあります。
被保険者期間の見込み、完全な賃金月、特定理由離職者にあたりそうかの目星です。
在職中の相談は、退職後より動きやすい場面が多いです。書類や条件を、落ち着いて確認できます。



見込みが分かっていれば、退職後の不安はぐっと減ります。
受給期間延長の申請と期限
退職後に病気・ケガで働けない場合、使える制度があります。
受給期間の延長です。原則1年の受給期間を、最大4年まで延ばせます。
申請には期限があります。期限を過ぎると給付を受けられなくなることがあるため、早めの確認が大切です。
具体的な申請期限は、ハローワークの案内で確認できます。



これは『受給要件の緩和』とは別の制度です。延ばす対象が違う点に注意してください。
社労士に相談するメリット


複雑なケースでは、専門家への相談が役立ちます。
特定理由離職者の判定、受給期間延長の手続き、傷病手当金からの切り替えなどです。
支援機関として相談を受ける中でも、制度が重なるほど自己判断は難しくなります。



迷ったら、手続きのプロに頼るのも選択肢のひとつです。
↓制度が重なって、自分では判断しきれないなら
受給期間の延長、傷病手当金からの切り替え。手続きが重なるほど、見落としのリスクは上がります。
手続きのプロに任せれば、自分のケースに合った進め方が分かります。
\ひとりで抱えこまないで/
傷病手当金との切り替え確認
傷病手当金を受給中、または受給予定の人もいます。
失業保険への切り替えには、順序と注意点があります。
傷病手当金は働けない期間、失業保険は働ける期間への給付です。両方を同時には受け取れません。
切り替えの詳しい順序は、傷病手当金の記事で解説しています。



焦らず、自分の状態に合った給付から確認していけば大丈夫です。










