10年以上働いて自己都合で退職する場合、失業保険(基本手当)はいくらもらえるのか。
編集部「10年も働いたからそれなりに受け取れるはず」
と期待する一方で、「自己都合だと損するのでは?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、10年以上20年未満の自己都合退職では、給付日数は120日です。月収30万円の場合、受給総額は約74万円が目安になります。
この記事では、年間600名以上のキャリア支援実績をもとに、
- 月収別の受給額シミュレーション
- 120日もらえない落とし穴
- 退職から初回入金までの具体的な流れ
- 給付日数を延長する方法
まで解説します。
※この記事の情報は2026年時点の制度にもとづいています。最新の情報は厚生労働省の雇用保険制度ページでご確認ください。
【失業保険】10年勤務×自己都合の給付日数は?
自己都合退職の場合、失業保険の給付日数は被保険者期間(雇用保険の加入期間)だけで決まります。年齢による区分はありません。10年以上20年未満であれば、一律で120日です。



10年働いたら120日なんだ。でも90日との差って大きいの?



10年は90日→120日に切り替わる境目です。30日分の差額は約18万円以上になります。
給付日数は120日(10年以上20年未満の区分)


自己都合退職(正当な理由のない自己都合離職)の場合、給付日数は以下のとおりです。
| 被保険者期間 | 給付日数 |
|---|---|
| 1年以上5年未満 | 90日 |
| 5年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
2025年4月から実施される雇用保険制度の大幅な改正ポイントについては、社会保険労務士(社労士)がこちらの動画で分かりやすくまとめています。
被保険者期間が「10年ちょうど」でも120日に該当します。ただし、「暦の上で10年在籍=10年以上」とは限りません。被保険者期間のカウント方法には落とし穴があるため、このあとのセクションで詳しく解説します。
ポイント
10年は給付日数が90日→120日に増える重要な境目です。退職前に被保険者期間が10年に達しているかを確認しておきましょう。
給付日数を300日まで延長できる方法


自己都合退職であっても、条件を満たせば特定理由離職者として扱われ、給付日数が大幅に増える可能性があります。
特定理由離職者に該当すると、30〜44歳・被保険者期間10年以上20年未満の場合、給付日数は最大240日〜300日(年齢区分による)に延長されます。
・心身の不調(うつ、適応障害など)を理由に退職した場合
・医師の診断書等により「就労困難な状態」が証明できる場合
・ハローワークが離職理由を審査し、特定理由離職者と認定した場合
退職コンシェルジュでは、離職理由の適正な判定サポートや、医師の診断書の準備アドバイスなどを通じて、受給額の最大化を支援しています。
基本手当日額:約6,207円
120日の総額:6,207円 × 120日 = 約74万円
300日の総額:6,207円 × 300日 = 約186万円
差額:約112万円
※上記は目安です。実際の金額は賃金日額や年齢区分により変動します。
ただし、すべての方が300日になるわけではありません。該当する可能性があるかどうかは、個人の状況によって異なります。
注意
退職後ではハローワークへの申告が難しくなるケースもあります。在職中に専門家へ相談するのが確実です。




【失業保険】10年勤務×自己都合の受給額は?


「結局いくらもらえるのか」が最も気になるところです。月収別にシミュレーションしました。自分の月収に近い金額を確認してください。



月収30万だと、手取りでどのくらいになるんだろう?



月額は約17万円です。ただし国保や年金の自己負担があるため、実手取りは後半で解説します。
月収25万円の受給額シミュレーション
退職前6か月の賃金合計:25万円 × 6 = 150万円
賃金日額:150万円 ÷ 180日 = 約8,333円
基本手当日額(給付率約68%):約5,707円
月額目安(28日):約16.0万円
120日の総額:約68万円
失業保険は非課税です。所得税・住民税はかかりません。ただし退職後は国民健康保険料と国民年金保険料を自分で負担する必要があります。実手取りの目安は、このあとの「出口戦略」セクションで解説します。
月収30万円の受給額シミュレーション


退職前6か月の賃金合計:30万円 × 6 = 180万円
賃金日額:180万円 ÷ 180日 = 10,000円
基本手当日額(給付率約62%):約6,207円
月額目安(28日):約17.4万円
120日の総額:約74万円
30〜44歳の基本手当日額の上限は8,055円(2025年8月改定後)です。賃金日額が16,110円(月収換算で約48万円)を超える場合は、上限額が適用されます。
月収35万円の受給額シミュレーション


退職前6か月の賃金合計:35万円 × 6 = 210万円
賃金日額:210万円 ÷ 180日 = 約11,667円
基本手当日額(給付率約56%):約6,494円
月額目安(28日):約18.2万円
120日の総額:約78万円
月収が高いほど給付率は下がる仕組みです。給付率は賃金日額に応じて50〜80%の範囲で変動し、賃金が低い方ほど高い率が適用されます。
3パターンをまとめると以下のとおりです。
| 月収(額面) | 基本手当日額 | 月額目安 | 120日の総額 |
|---|---|---|---|
| 25万円 | 約5,707円 | 約16.0万円 | 約68万円 |
| 30万円 | 約6,207円 | 約17.4万円 | 約74万円 |
| 35万円 | 約6,494円 | 約18.2万円 | 約78万円 |
上記はあくまで目安です。残業代や各種手当を含む直近6か月の賃金総額(賞与は除く)によって金額が変わります。正確な受給額は、ハローワークで受給資格が決定した際に確認できます。
失業保険を10年勤務でも120日もらえない3つの落とし穴
「10年働いたから120日もらえる」と思っていたのに、実際には90日だった。こうしたケースは珍しくありません。被保険者期間のカウント方法には独自のルールがあるためです。



10年勤めたのに120日もらえないことがあるの?



在籍期間と被保険者期間は別です。休職や空白期間がある方は要確認です。
被保険者期間は「月11日以上×120か月」で判定


被保険者期間は、単純に「入社日〜退職日」で計算されるわけではありません。以下のルールで判定されます。
・離職日から1か月ごとに遡って区切る
・各区切り期間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月を「1か月」とカウント
・11日に満たない月はカウントされない
・自己都合退職では、退職前2年間で通算12か月以上が受給の最低条件
つまり「暦の上で10年在籍」していても、賃金支払基礎日数が11日未満の月が積み重なれば、被保険者期間は10年に届きません。
育休・休職・転職の空白で不足するケース
120か月に届かなくなる代表的なパターンは3つあります。
被保険者期間が不足しやすいケース
① 育児休業中:無給期間は賃金支払基礎日数が11日未満になる可能性がある
② 病気休職中:同様に、無給の休職期間はカウント対象外になりうる
③ 転職時の空白期間:雇用保険に未加入の期間はカウントされない
なお、転職しても前職の雇用保険加入期間は通算されます。ただし、前職退職時に失業保険を受給した場合はリセットされるため、通算の対象外です。
前職で8年勤務し、退職時に失業保険を受給。その後、現職で4年勤務して退職。この場合、前職の8年は通算されず、被保険者期間は4年のみ。給付日数は90日になります。
※個別の状況により結果は異なります。詳しくはハローワークにご確認ください。
離職票の「被保険者期間」欄で事前に確認する方法
退職後に届く離職票-2の「⑨被保険者期間算定対象期間」欄で、自分の被保険者期間を確認できます。
確認手順
1.離職票-2の「⑨」欄を見る:1か月ごとの区切りと賃金支払基礎日数が記載されている
2.11日以上の月を数える:この合計が被保険者期間になる
3.120か月以上あるか確認する:120か月以上なら給付日数120日に該当
離職票が届く前に確認したい場合は、ハローワークに電話で問い合わせが可能です。「被保険者期間が10年に達しているか確認したい」と伝えれば、加入記録をもとに教えてもらえます。
「足りないかもしれない」と思ったら、退職前に確認しておくことが重要です。退職後に「90日だった」と分かっても、取り返しがつきません。



特に休職期間がある場合は被保険者期間の計算に影響するため、退職前に確認しておくことが重要です。
現職に10年以上勤務の人が自己都合で失業保険を申請する流れ


退職から初回入金までの流れを時系列で整理します。自己都合退職の場合、初回入金まで約2か月半が目安です。
【前準備】受給額を最大化するなら「退職コンシェルジュ」を活用
標準的な手続きに入る前に、受給額を最大化したい方向けの選択肢を紹介します。
退職コンシェルジュでは、以下のサポートを提供しています。
・離職理由の適正な判定サポート(特定理由離職者への該当可否)
・必要書類(医師の診断書等)の準備アドバイス
・ハローワークでの手続きサポート
前セクションで触れた「300日延長」を実現するための具体的な第一歩がここです。退職後では対応が難しくなるケースもあるため、在職中の相談が望ましいとされています。




STEP1|離職票を受け取る(退職後10日〜2週間)
離職票は退職後に会社から届く書類です。自分で発行するものではありません。届くまでの目安は退職後10日〜2週間です。
届かない場合の対処法
まず会社に催促しましょう。それでも届かない場合は、ハローワークに相談すれば会社への催促や、ハローワークからの直接交付が可能です。
届いたら以下の2点を確認してください。
- 離職理由コード:自己都合の場合は「40」「45」などが記載される
- 被保険者期間:120か月以上あるか(前セクションの確認方法を参照)
STEP2|ハローワークで求職申込(持参物5点)
離職票が届いたら、住所地を管轄するハローワークへ行きます。初回来所では求職申込と受給資格の確認を行います。
持参物リスト(5点)
- 離職票-1・離職票-2
- マイナンバーカード(または通知カード+身分証明書)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
- 証明写真2枚(縦3cm×横2.4cm)
- 印鑑(認印可)
STEP3|待期7日を経過する
求職申込日から7日間は待期期間(たいききかん)です。この間は給付の対象外になります。
注意
待期期間中にアルバイトをすると、待期が延長されるリスクがあります。この7日間は就労を控えましょう。待期期間は自己都合・会社都合に関係なく全員共通です。
STEP4|給付制限1か月を待つ(2025年4月改正で短縮)


自己都合退職の場合、待期7日のあとに給付制限期間があります。
2025年4月1日以降の離職者は、給付制限が従来の2か月から1か月に短縮されました。従来よりも約1か月早く受給を開始できます。
・給付制限期間:2か月→1か月に短縮
・教育訓練(公共職業訓練等)を受講すれば給付制限が解除される新制度も開始
・ただし5年以内に3回以上自己都合退職した場合は3か月の制限
詳しくは厚生労働省の雇用保険制度改正ページで確認できます。
STEP5|失業認定日に出席→約5営業日で振込
ハローワークでの具体的な手続きの流れや、受給中の守るべきルールについては、こちらの厚生労働省公式動画でも詳しく解説されています。来所前に視聴しておくと、当日の手続きがよりスムーズになります。
4週間に1回、ハローワークで失業の認定を受けます。認定日に出席すると、約5営業日後に指定口座へ振り込まれます。
- 退職
- 離職票受領(10日〜2週間後)
- ハローワークで求職申込
- 待期7日
- 給付制限1か月
- 初回認定日 → 約5営業日で振込
初回入金まで約2か月半が目安
給付制限中は収入がゼロになります。最低1.5〜2か月分の生活費を退職前に確保しておきましょう。
失業保険120日の出口戦略3パターン|手取りで比較


失業保険をどう使うかは、再就職のタイミングや家計状況で変わります。ここでは120日を活用する3つのパターンを、国保・年金を差し引いた実手取りベースで比較します。



120日全部もらうのと、早く再就職するのと、どっちが得なの?



状況によります。全額受給・再就職手当・職業訓練の3パターンで比較してみましょう。
①全額受給|4か月かけて満額を受け取る
120日 ÷ 28日 = 約4.3か月で満額受給となります。
ただし退職後は以下の自己負担が発生します。
・国民健康保険料:前年所得基準で月2〜3万円(目安。自治体により異なる)
・国民年金保険料:月17,510円(2025年度)
・任意継続という選択肢もある:退職後20日以内に申請が必要。上限があるため国保より安くなるケースがある
国保・年金を差し引いた実手取りの目安は以下のとおりです。
| 月収(額面) | 月額手当 | 国保+年金(概算) | 実手取り月額 |
|---|---|---|---|
| 25万円 | 約16.0万円 | 約4〜5万円 | 約11〜12万円 |
| 30万円 | 約17.4万円 | 約5〜6万円 | 約11〜12万円 |
| 35万円 | 約18.2万円 | 約5〜7万円 | 約11〜13万円 |
②再就職手当|残80日以上で残日数×70%を一括受給
再就職手当は、失業保険の受給中に早期再就職した場合に支給される一時金です。
・120日の3分の1以上(40日以上)を残して再就職 → 残日数 × 60%
・120日の3分の2以上(80日以上)を残して再就職 → 残日数 × 70%
・再就職先で雇用保険に加入することが条件
再就職手当の算定に使う基本手当日額の上限:6,570円(59歳以下)
80日 × 70% × 6,570円 = 約36.8万円(一括支給)
※再就職手当の算定日額には上限があるため、基本手当日額とは異なる場合があります。
全額受給と比べてトータルの受給額は減りますが、再就職先の給与が加わるため、手取り総額では上回るケースが多くなります。詳しくはハローワークの再就職手当ページで条件を確認してください。
③職業訓練|給付制限解除+給付日数の延長
公共職業訓練(ハロートレーニング)を受講すると、以下の3つのメリットがあります。
- 給付制限が解除される(2025年4月以降の新制度)
- 訓練期間中は給付日数が延長される(120日を超えて受給可能)
- 受講中は交通費・受講手当も支給される
代表的な訓練コースには、IT(プログラミング・Webデザイン)、簿記・経理、介護、医療事務などがあります。訓練の申込はハローワークで相談し、受講指示を受ける必要があります。
注意
訓練開始時期によっては、給付制限解除の恩恵を受けられないケースがあります。申込のタイミングはハローワークの窓口で確認してください。
職業訓練校の視点
職業訓練を受講すると、訓練期間中は失業保険の給付が延長されます。とくに自己都合退職で給付日数が120日の方にとっては、訓練受講が実質的な「給付延長策」になります。訓練コースの定員は早い段階で埋まることが多いため、退職前の情報収集が重要です。



3つのパターンのうち、どれが有利かは個人の状況によって異なります。判断に迷う場合は専門家に相談するのが確実です。
失業保険に関して10年以上勤務・自己都合で申請する人からよくある質問
自己都合退職の場合、いつから失業保険を受け取れますか?
初回入金まで約2か月半が目安です。内訳は、待期7日+給付制限1か月(2025年4月改正後)+初回認定日→振込です。
詳しい流れは申請手続きのセクションで解説しています。
給付制限期間中でもハローワークでの求職活動は必要ですか?
必要です。給付制限中も求職活動実績の提出が求められます。認定期間ごとに原則2回以上の実績が必要です。
認められる例:求人への応募、ハローワークでの職業相談、就職セミナーへの参加
認められない例:求人検索のみ(閲覧だけ)、インターネットでの情報収集のみ
会社都合と自己都合では給付内容にどのような違いがありますか?
| 項目 | 自己都合 | 会社都合 |
|---|---|---|
| 給付制限 | あり(1か月) | なし |
| 給付日数(10年以上20年未満) | 120日 | 180〜240日(年齢による) |
| 国保減免 | なし | あり(最大70%軽減) |
10年勤務の場合、給付日数の差に加えて、国保減免の有無が実質的な手取りに大きく影響します。会社都合退職では国民健康保険料が最大70%軽減されるため、同じ給付日数でも手元に残る金額に差が出ます。
また、自己都合退職でも「特定理由離職者」に該当する場合は、会社都合と同等の給付制限なし・給付日数の優遇を受けられる可能性があります。給付額を最大化したい方は、退職給付金の申請サポートサービスの利用も検討してみてください。
失業保険の受給中にアルバイトをしても大丈夫ですか?
条件付きで可能です。ただし以下のルールがあります。
・週20時間未満であること(20時間以上だと「就職」扱いで受給停止)
・1日4時間未満の場合:その日の手当が減額される
・1日4時間以上の場合:その日の手当は不支給(ただし後日に繰り越し)
・認定日にアルバイトの実績を正直に申告すること
不正受給に注意
申告しなかった場合は不正受給となり、受給額の3倍返還を求められるリスクがあります。アルバイトをした日は必ず失業認定申告書に記入してください。
受給期間の延長はできますか?どのような場合に認められますか?
まず「受給期間の延長」と「給付日数の延長」は別の制度です。
| 項目 | 受給期間の延長 | 給付日数の延長 |
|---|---|---|
| 内容 | 受給できる期間(通常は離職日翌日から1年)を延長 | 120日を超えて受給できる日数を増やす |
| 対象 | 病気、けが、妊娠、出産、育児(3歳未満)、介護など | 職業訓練受講、特定理由離職者への該当 |
| 延長幅 | 最大4年まで | 訓練期間に応じて延長 |
受給期間の延長は、病気やけがなどでハローワークに通えない場合に、受給期間(通常は離職日翌日から1年間)を最大4年まで延長できる制度です。
申請方法は、離職後30日経過後の1か月以内にハローワークへ申請します。対象となるのは、病気、けが、妊娠、出産、育児(3歳未満)、介護、海外ボランティアなどの場合です。
失業保険は制度の組み合わせ方で受給額や受給期間が大きく変わります。個人の状況に合わせた最適な選択は、専門家への無料相談で確認できます。










