2026年09月01日
地方創生
事例
人口500人の小さな村で「新しい働き方」が生まれた。 ——山梨県 丹波山村の支援事例
「3年間、地域のために働いてくれた地域おこし協力隊の隊員が、任期が終わると村を出ていってしまう」
村に残りたくても仕事がなく、去っていかざるを得ないというのです。
多くの自治体がこのような課題を抱えています。
山梨県にある人口わずか500人の村、丹波山村(たばやまむら)も、そのひとつでした。
この記事は、そんな構造的な課題を解決するためにソフィアが丹波山村で実際に支援を行った記録です。
人口500人の村で、実証実験を始めた
丹波山村との出会いは、内閣府の「企業版ふるさと納税」のマッチングプラットフォームを通じてでした。
人口500人という規模の小ささは、一見するとハンデに見えます。しかし実際に動き始めると、それは大きな強みでした。担当者の上司が村長であるため、意思決定が驚くほど早い。「やりましょう」と言えば、翌週には動いている。大きな自治体では経験できないスピード感でプロジェクトが始動しました。

元町長の家をコワーキングスペースとして活用し、まずは全隊員を対象にした創業セミナーを開催。その後、個別支援へと移行し、具体的なリモートワークの仕事を提供していきました。

一人のエンジニアが、村に残る選択をした
実証実験の結果、一つの成功事例が生まれました。
地域おこし協力隊員だった一人が、支援を通じてITスキルを習得。2024年8月に起業し、春は講師として、それ以外の季節は地元でITサポートをするフリーランスとして、場所に縛られない働き方を実現したのです。
この事例は内閣府でも発表されました。「村を出なくても、食べていける」という選択肢が生まれた瞬間でした。
一方で、課題も見えてきました。「やりたいことがまだ明確でない人への支援が、不十分だった」という反省です。動機が明確な人には有効でも、まだ自分の方向性を探している人には、別のアプローチが必要だと気づきました。
実証実験の「失敗」から生まれた、新しいモデル
この学びを基に開発したのが、新事業モデル「ソフィアアカデミー」です。現在、西日本の自治体・上石高原町での導入準備が進んでいます。
特徴は、スキルと収入に応じて段階的に成長できる「星1〜5」の体系的なカリキュラムです。

星1〜3:まず「働きながら学ぶ」体験を積む段階テクニカルサポートなどの実務を通じて、オンラインでの働き方に慣れていきます。学習中にも収入が得られる仕組みにすることで、「お金が続かなくて断念」という挫折を防ぎます。
星4〜5:専門職として自立する段階
エンジニアなどの専門職を目指す段階。星4レベルで月収50万円、星5レベルで月収100万円程度を稼げる人材育成を目標としています。
さらに、「キャリアコンサルティング」を組み込み、一人ひとりが自分の望む未来を描けるよう伴走します。与えられる仕事をこなすのではなく、自らのキャリアを主体的に設計していく。それこそがソフィアの支援の根幹です。
「教育と仕事をセットで届ける」という、ソフィアの強み
多くの教育サービスは、「学び」を提供して終わります。しかし、学んだ後に仕事がなければ、スキルは活かせません。収入が途絶えれば、続けることもできません。
ソフィアコミュニケーションズが提供しているのは、学びと仕事をセットにした支援です。学習期間中から実践的な仕事を提供し、経済的に困窮せずに自立まで伴走できる。この仕組みこそが、他社との明確な差別化になっています。
今後はこのノウハウをパッケージ化し、各自治体がクライアントとなって導入するモデルを構想しています。自治体は国の補助金などを活用してソフィアに事業を発注し、ソフィアは各地域の特性に合わせて支援を提供する。いわば、地域創生版のフランチャイズモデルです。
創業支援は「エコシステム」をつくること
ソフィアコミュニケーションズが創業支援で大切にしているのは、一人の起業家を育てることだけではありません。
起業家を取り巻く地域の企業、金融機関、学校、自治体。そうした多様なプレイヤーが有機的につながる「スタートアップエコシステム」を地域に根付かせること。それが、持続可能な地域活性化につながると考えています。

東京工業大学や中目黒エリアマネジメント協議会との「起業塾」、公立小学校での出前授業など、産官学連携の実績を積み上げてきたのも、この思想の延長線上にあります。
もう一つ、私たちが大切にしているのが「色鉛筆理論」という考え方です。地域にはそれぞれ固有の色がある。外から一色を押しつけるのではなく、その土地が元々持っている色を引き出すこと。そのために、「よそ者」や「女性起業家」という外部の視点を意図的に取り込みながら、地域課題解決型のワークショップなどを通じて、その土地ならではの創業を支援しています。
最終的な目標は、「まちを自分ごとにすること」
創業支援は、起爆剤です。
一人の起業家が生まれることで、商工会議所や市職員、地域の住民が「自分たちの街の未来」を考え始める。そこに生まれる合意形成と当事者意識が、本当の意味での持続可能なまちづくりにつながっていく。私たちはそう信じています。
日本各地にインキュベーション施設を設置し、地域を循環する支援のサイクルを創る。それが、ソフィアコミュニケーションズが描く、新しい「日本で働く」姿です。
地域創生・創業支援に関心のある自治体担当者の方へ
丹波山村での実証実験、ソフィアアカデミーの取り組みについて、詳しくご説明します。「うちの地域でも試してみたい」「もう少し話を聞きたい」という段階でも歓迎です。
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