2026年09月03日
事例
インタビュー・対談
人材育成
あなたの経験は、社会の役に立つ ―― キユーピー40年・元工場長が見つけた“第二の現役”
ソフィアコミュニケーションズのコンサルタントとして活躍する人にスポットを当て、独立までのストーリーや今後の展望について紹介します
新卒で入社した大企業に、定年まで40年8か月。「引退」の二文字が浮かぶ場面で、吉用智彦さんは「独立」の道を選びました。元工場長にして人事部長、いまは脳科学コーチングを掛け合わせた人事コンサルタントとして、中堅・中小企業の経営者と向き合っています。
うまくいかなかった、最初のマネジメント
キユーピー(株)で、長くものづくりの現場を率い、50代で工場長を務めた吉用さん。やりがいを感じたのは、いつもチームの成長の場面だったといいます。「メンバーが共通の目的に向かって心を合わせ、お互いに協力し、得意なことで貢献し合いながら成長していく。それを支援する場面に、働きがいを感じていました」。
ですが、最初からうまくいっていたわけではありません。「上司や先輩の背中を見て学べ」という指導を受けて育った吉用さんは、管理職になりたての頃、自分も同じやり方を部下に向けていました。
「今で言えば、誤解を恐れずに言うとパワハラでした。なんでできないんだ、やる気があるのか、と。結果に対して詰めて、本人を奮い立たせようとしていたつもりが、かえってできないことを責めて、士気を下げていた。恥ずかしながら、そういうマネジメントをやっていました」。
成果は出ず、自分も、それ以上に部下も苦しみました。
その実感が、転機になりました。
コーチングが変えた、マネジメントの常識
マネジメントを根本から見直すため、吉用さんは、コーチングを本格的に学び始めます。
1から10まで指示するマイクロマネジメントをやめ、やり方も含めて部下自身に考えてもらう方針へと切り替えました。経験のある自分から見て「違う」と思う瞬間があっても、部下が自分で考えて動いたことには口を出さない。ただし、関心を持って見守ることは忘れませんでした。
「部下が自ら考え、道筋を立てて動いた結果なら、多少時間がかかってもいい。自分で工夫して成果につながった瞬間のほうが、本人もやりがいを感じるんです」。
この気づきが、のちの「脳科学コーチング」という強みの原点になっていきます。
そして工場長として現場に立つうち、ものづくりのベースにある「人づくり」の重要性を痛感します。
本社の人事制度や研修体系に現場視点で不満をぶつけていたところ、後に上司となる役員から思わぬ言葉が返ってきました。
「だったらお前が人事をやれ」と。
ですが、吉用さんはこの言葉を前向きに受け止めました。「『自分だったらこうするのに』という思いがよみがえり、現場視点で育成ができるいいチャンスだと感じました」。

グループ3万人の育成責任者として、職種も立場も異なる社員の土台となる「ポータブルスキル」(=企業理念の理解やヒューマンスキル)を磨き、専門スキルは各部門と連携する“二階建て”の育成体系をつくり上げました。
助走をつけてから、独立した
独立は、定年退職と同時。とはいえ吉用さんは、何の準備もなく踏み切ったわけではありません。
在職中から会社の副業制度を使い、社内のセカンドキャリア研修の講師などを経験していました。副業を通じて、自分のセカンドキャリアの焦点がだんだん定まってきた、といいます。
退職後も、キユーピーと準委任契約を結び、研修講師の仕事を続けています。65歳までの再雇用を選ぶ同期が多いなか、吉用さんが再雇用を選ばなかった理由は「やりたいこと、できることが明確だった」からだといいます。また、事前に副業でベースを作っていたことで、独立後も安心感があったそうです。

この経験から、後進にはこう勧めています。「自分の市場価値を測るためにも、在職中に副業制度を使ってみてはどうでしょうか、と」。
研修講師から、経営に直結するコンサルへ
副業で中堅・中小企業の現場に入った吉用さんは、大企業との構造的な違いに気づきます。
「大企業は役割が分かれていて、人事は人事、法務は法務と専門性が高い。でも中小企業はリソースがないので、経営者自身が人事をやっているような状況でした」。
ならば、研修講師として一部を支えるより、経営者と直接向き合うコンサルティングのほうが価値が高い。そう考えた吉用さんは、知人の横尾さんをきっかけに、ソフィアのコンサルタント養成講座の門を叩きました。
提供する価値を「人事機能の補助」から「経営課題への統合的なアプローチ」へと定義し直した瞬間でした。
「実践だね」の一言が、敷居を下げた
講座で学んだのは、大企業向けとは異なる、中小企業に特化したコンサルティングの考え方と姿勢でした。同時に、思いがけない手応えもありました。すでに自分が身につけてきたスキルが、コンサルタントとして十分に応用できる。その確信です。
「林田さん、横尾さんからは、受講開始後の早い時期に『吉用さん、あとは実践だね』と言っていただきました。その時、自分の中にあったコンサルタントという敷居の高さや心理的なハードルがなくなった気がします」。
この講座の強みは、一人では決して得られない“出会い”にもあります。プログラムの中には、元アクセンチュア社長の海野さんに向けて、受講者自身がコンサルタントとしてのプランをプレゼンする機会があります。その時のことを、吉用さんはこう語ります。
「以前は、肩書きを背負ってプレゼンしていました。大企業で部長職にもなると、上司は役員ですから、耳の痛い建設的なフィードバックは、なかなか得られません。でも今は退職して、コンサルタント見習いの立場。だからこそ、忖度なくフィードバックをもらえたんです。それがありがたかった」。
三つの掛け算が生む、独自の価値
いま吉用さんは、「元工場長 × 人事部長 × 脳科学コーチング」という、ほかにない強みを武器にしています。
中堅・中小企業の経営者の多くは、自ら起業した人たちです。創業の志は原点にありながら、今期の売上や雇用を守る現実との間で揺れています。だからこそ吉用さんは、人事の課題に入る前に、まず経営者自身へコーチングを行います。
「なぜ経営者になったのか、どんな思いで起業したのかという原点に、コーチングでアプローチする。本当はどうありたいか、を引き出してから、解決すべき組織や人の課題を紐解きます」。
ビジョンを描いたら、それを現場で動く仕組みへと落とし込みます。ここで活きるのが、工場長として培った「現場が自ら動き出す」マネジメントと、人事部長として組織全体の育成を設計してきた視点です。
理想論で終わらせず、現場の手触りと組織の仕組みの両面から、人と組織の課題に解決の形を与えていけます。経営者の想いに寄り添うコーチングと、それを実装する現場・組織の知見が、吉用さんの中で一本につながっています。
SNSやメディアを通じた発信にも力を入れています。LinkedInで、人事コンサルタントの立場として投稿を重ね、NewsPicksでは認定コメンテーターとして週3回を目標にコメントを続けています。
「同じ内容でも、どんな立場の人間が言うかでインパクトが違う」。その積み重ねが、知らない相手からの「ミーティングしませんか」というDMにつながり、新たな仕事のリードになっています。
会社の方針やブランドに縛られず、自分のライフワークに沿って「本当にやりたいこと」を選べます。吉用さんは、売上のためなら何でもやるのではなく、理念やビジョンに共感できるクライアントと働くことを大切にしています。
これまで会社に尽くしてきた、あなたへ
最後に、独立や副業に迷う人へのメッセージを尋ねました。
「大きな組織にいると、自分の市場価値に気づきにくい。みんなできて当たり前だと思ってしまう。でも、長い組織人経験の中で培ってきたスキルは、必ず世の中に貢献できます」。
そのスキルを社会貢献や地域の活性化に向けたとき、これまでの「やりがい」「働きがい」は「生きがい」へと変わっていきます。それが、吉用さんのライフワークです。
「自分が思っているほど、独立の壁は高くありません。客観的にフィードバックしてくれる環境に身を置き、足りないところを学んで、実践につなげる。その場を自分で作って、勇気を持って飛び込んでほしいんです」。
40年8か月をかけて積み上げた経験は、定年で終わるどころか、いま新しい現役の舞台で輝いています。
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吉用さんのように、これまで培った経験やスキルをセカンドキャリアで活かしたい。そう感じた方へ、最初の一歩となる場をご用意しています。
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