
近年、人材育成の場面で重要視されている「マインドセット」。
会社では社員の立場や役職によって仕事に対する意識と行動を変化させる必要があります。そのためには、1人1人の主体性を養って、組織全体のマインドセット教育を進めていかなければなりません。先行きが不透明で既存の価値観が年々変化する世の中で、自社ビジネスが生き残るための戦略として必要なマインドセットについて詳しく解説します。
この記事を最後まで読み、貴社が行うべきマインドセット教育の重要性と実践方法を参考にしてみてください。
人材育成でのマインドセットの意味は?

マインドセット(mindset)とは、私たちの思考や行動を決める人それぞれの「考え方のクセ」や「物事の見方」といった思考パターンのことを意味します。すなわち、意識的な思考パターンではなく無意識な思考パターンなのです。また、マインドセットは先天的な要因と後天的な要因によって形成されます。
もしかするとマインドセットという言葉から、個人だけが持つ思考パターンと捉えてしまうかもしれませんが、組織のマインドセットもあります。企業理念や行動規範、組織が形成してきた文化、ビジネスモデル、経営戦略など、会社全体の社風として表現されるのです。
出典:HRpro 「マインドセット」の意味や種類とは? コーチングや人材育成など場面別事例も解説
人材育成で重要なマインドセットが形成される要因

マインドセットには、構成要素があります。先天的なものでは、性格や生まれた場所、使用する言語などで構成されています。後天的なものでは、家庭環境や教育環境、人間関係、所属した組織によって形成されているのです。
これら全てが私たちの価値観や価値判断の基準、信念、キャリア形成などに大きく影響を与えていると言っても過言ではありません。この先では、基本的な要素についてさらに詳しく解説します。
出典:School for Business マインドセットとは?重要性と研修で養う方法やポイントを解説
性格
遺伝的な要因である性格は、マインドセットに大きな影響を及ぼしています。私たち人間は、生まれてから人生を終えるまでさまざまな心境の変化がありますが、性格が大きく変わることは非常に稀です。前向きな性格の人は、物事を基本的に前向きに考えます。
否定的な性格の人は、物事をまず否定的な視点から考えやすいです。矯正することはできますが、根本的に変わることは滅多にないと言えるでしょう。私たちのマインドセットの基盤には性格が影響しているのです。
生まれた環境
生まれた場所もマインドセットに大きく影響します。日本で生まれた人は日本の文化に影響を受けますし、アメリカで生まれた人はアメリカの文化に影響を受けますよね。
例えば、日本にはハグの文化がなく、初対面の日本人とあいさつとしてハグをすることはほとんどありません。相手が求めてきたら戸惑うこともあるでしょう。しかし、アメリカでは、初対面であってもハグをすることは当たり前です。
必ず母国にフィットしたマインドセットを持っているわけではありませんが、出生地の文化がマインドセットに影響しやすいと言えます。
育った環境
家庭環境および、学校での教育環境はマインドセットに大きく影響を与えます。私たちは、義務教育の6年間と高校大学の7〜11年間、もしくは専門学校など、かなり膨大な年数を費やして学びます。その環境で形成される価値観や将来像がマインドセットを作り上げるのです。
厳しい環境で育った人は文化や規範に沿った生き方を好んだり、自由で縛りのない環境で育った人は自由気ままな生き方を好んだり、人それぞれの育った環境はマインドセットの形成の要因になります。また、友人関係や教師との関わりで、性格が少し変わったり考え方の影響を受けたりすることもあるのです。
所属していたコミュニティ
学校や会社、趣味のコミュニティなど、私たちはライフイベントの中でさまざまなコミュニティに参加する機会があります。その所属してきたコミュニティの信念や行動規範、趣味嗜好などがマインドセットに影響するのです。
成功体験・失敗体験
私たちの人生ではさまざまな成功体験や失敗体験があります。学生時代のスポーツ大会や会社での営業活動など、行動の結果得られた成功や失敗がマインドセットに影響するのです。成功は次の行動の自信になり、行動力が上がったりモチベーションが上がったりします。
しかし、失敗を経験すると、次の行動に対する恐怖を感じたりモチベーションを下げたりする要因になります。成功体験や失敗体験が私たちの考え方や行動に大きく影響すると言えるでしょう。
人材育成で意識するべき2種類のマインドセット

心理学や行動経済学の研究で、マインドセットは2種類に大きく分けられると判明しました。1つ目は、成長マインドセット(しなやかマインドセット)。2つ目は、硬直マインドセット(かちこちマインドセット)と呼ばれています。この先では、2種類のマインドセットについて詳しく解説します。
出典:HR大学 人事をやさしく学ぶメディア 成功するためのマインドセットとは
硬直マインドセット
硬直マインドセットがある人は、努力や目標設定を意味がないと考えてしまう思考の癖があります。「どうせ私が行動しても良い結果は得られないだろう。」「努力をしても成長できるレベルには限度があり、やっても意味がない。」など、努力することや行動することに対して、ネガティブな思考になりやすいのです。
硬直マインドセットを持っていると、よくない結果を避けるためにサボったり誤魔化したりすることが多くなります。また、言い訳をして責任逃れをしたりするなど、組織に不利益を与える人材になってしまうのです。
成長マインドセット
成長マインドセットとは、硬直マインドセットの反対語です。成長マインドセットを持っている人は、「自分は努力次第で能力を伸ばせる。」「行動すれば価値ある結果が必ず得られる。」「失敗したとしても次に活かせばいい。」など、物事をポジティブに考えられます。
つらい仕事や勉強も得られる結果のためには惜しみなく努力でき、苦手なことでも積極的に行動します。成長マインドセットを持つ人が社内に多くいると、会社の発展のために尽力してくれますし、実際に良い結果につながりやすいのです。
人材育成におけるマインドセットの重要性
